トレーナー

怪我や障害を負ったときには「順応」という言葉を知っておこう。トレーナーの目線から。

千葉司
2018.01.29

障害や怪我を負ったとき、人間の体はどうなるのでしょうか?

先天的(生まれつき)、あるいは後天的(事故や病気で)に手や足に障害を負ったり、目や耳に障害を負ったりすることもあります。

骨折、捻挫、挫傷、打撲など怪我を負うこともあります。ギプスや包帯などで体を固定することもあれば、松葉杖や車いすなど体の動きを補助してくれる道具もたくさんあります。

 

 

私は治療業界に携わって10年になりますが、整形外科や接骨院などで3万人以上の方を診断してきました。老若男女さまざまな方の体と向き合ってきましたが、治療を通じて私が感じたことは、”人は良くも悪くも順応していく生き物”だということです。

ダーウィンの進化論ではありませんが、環境に合わせて生態を変えていくのは生物の特徴です。敵に襲われないように他の生物に体を似せたり、枯れ葉に体を似せたり。変化に対応しながら生きていきます。

これを人間にあてはめて考えてみても、人間も同様に順応していく生き物です。体が変化すればそれに合わせようとするし、心が変化すれば見えている世界が変わってくるもの。そして、これは良い方向にも悪い方向にも順応し変化してしまいます。

順応とは何か。二つの例を挙げてみます。

「膝が悪くて歩くことがしんどい」という理由から、杖を使用することになったとします。杖を使うことで、少し楽に歩けるようになります。行動範囲が広まるかもしれません。しかし、この杖に慣れてしまうとどうなるのか?体は楽な方へと順応するので、杖を手放せなくなってしまいます。これが順応です。

ただ、同じ場合でも、違う順応のタイプがあります。それは、杖を使用しないという選択をすること。「杖を使わずに歩けるようにするんだ」という気持ちを持ってリハビリに取り組むと、段々と歩けるようになります。そして、杖を使わなくても歩けるという体の動きに順応できるようになります。

この二つの例は、どちらが良くてどちらが悪いかは個人によって違います。年齢によって、筋力によって、生活状況によって、トレーナー目線でもどちらの順応を目指すかは変わります。大切なことは、順応に違いが生まれること。そして、意識と行動次第で、順応の結果が変わることです。

 

 

障害や怪我を負ったとき、その”いまの状態”をどう順応させていくのか?その方向性を考えていくことが、未来をどう生きていくのかという答えになります。

できないことへの挑戦は、誰もが苦痛を感じます。それは当たり前の話です。慣れていないこと、できないことへのストレスは順応していないから生まれるものです。

運動が苦痛なひとにとっては、運動する習慣に順応していないからであり、リハビリが苦痛なひとにとっては、現在の体の状況に順応していないからです。5月病のようなメンタル的なものも、新しい環境に順応していないからです。

今すぐ手に入れることができる楽で簡単なものに順応させるのか。今はまだ手が届かなくても、苦しみつつも順応させて、自分の求める状態へ順応させていくのか。

実は体や心は自分でコントロールできるものであり、自分自身を形成していくものです。私のような治療業界にいる人間は”順応のアドバイザー”といえるのかもしれません。

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