ドリブル難しすぎない?シュートが枠まで届かないんだけど。
初めて車いすバスケをやってみた、率直な感想です。簡単だと思ってチャレンジしたわけではありませんでしたが、もう少しできそうな気がしていた自分が恥ずかしくなるくらい、難しく、そして楽しいものでした。
車いすを漕ぎながらドリブル、相手を交わしながらシュートなんて全然無理な話で、車いすを自由に乗り回し、バスケを楽しめるなんて、純粋にカッコいいと感じられる時間でした。
10月末に東京都千代田区で開催された神田スポーツ祭り。「スポーツ&ダイバーシティ」をテーマにいろいろなスポーツを体験できるイベントです。都内を走る靖国通り沿いの御茶ノ水・小川町・神保町エリアは神田スポーツ店街として有名で、年に一度、神田スポーツ祭りが開かれています。
会場となった小川広場には、熱い試合が繰り広げられる神田プロレスのリングや体力測定ができるブースがあり、隣接するバスケットコートでは「みんなでスポーツ」という障害者スポーツやレクリエーションスポーツが楽しめるエリアが広がっていました。冒頭に感想を伝えた車いすバスケは、このエリアでトライしたものです。
障害者スポーツの体験というと、多くはパラリンピック出場選手やコーチなどがガイドを務め、体験する時間がつくられます。
しかし、今回のガイド役は大学生。ちょうど同じタイミングで集まった子どもから年配の方まで、全員が楽しめるためにはどうすればよいのか。臨機応変にルールや楽しみ方を提案し、盛り上げてくれました。ある意味、ガイド役が素人な分、何も遠慮することなく、思いきり楽しめたような気がします。
車いすも、乗ってみれば分かる。車いすバスケも、ボールを持ってみれば分かる。「分かる」というより「感じる」に近いかもしれません。
たまたま一緒にプレイした小学生と仲良く打ち解け、カップルで参加した二人のパスをカットして盛り上がる。人とボールと車いすがそこにあれば、自然とスポーツを通じたアクションが生まれ、コミュニケーションが生まれます。
障害者スポーツ体験会のようなイベントではないからこそ、細かい説明を抜きにして、すぐに遊べる。ひたすら車いすを漕ぎ、ボールを追いかけ、パスを回し、シュート。そしてゴールに届かない(笑)。
この爽快感と気軽さ、そして奥深さや難しさを瞬間的に感じることができたのは、とても楽しいものでした。
3歳になる息子にも楽しんでもらえないかなと、絶対にしてはいけない車いすへの二人乗りをしつつ、車いすを走らせてみたり、ボールを持ってみたり。安全管理と責任の所在はありますが、枠に囚われない体験ができたことが、神田スポーツ祭りで車いすバスケを体験した価値だと感じます(危険なので、真似はしないでください)。
ある意味、自分勝手に、自由気ままに体験させてもらったので、これが理想だとは言えませんし、目指すことでもありません。ただ、障害者スポーツを誰にとっても楽しめるカタチで、アスリート性を抜きにして体験する時間も重要なのではないかなと思います。
障害者スポーツは、ユニバーサルスポーツとして、年齢や障害の有無などを問わず、多くのひとが楽しめるスポーツとして定着しつつあるものもあります。「またやりたい」「今度こそ上手くやりたい」と思えるような体験を提供する機会が増えると、社会により浸透していくのではないでしょうか。