42.195kmを走りきるのに、車いす・自転車・マラソンだとどのくらいタイムが違うのか。ちょっと試しに比べてみました。要するに、手で漕ぐのと足で漕ぐのと足を動かすのはどれくらい違うのか、ということ。比べる意味ある?とか言わないで(笑)!
自転車・・・約46分(42.195kmのレースがないため試算)
車いす・・・1時間20分14秒
マラソン・・・2時間2分57秒
視覚障害者のマラソン・・・2時間21分33秒
やっぱり自転車が速いのは頷けますが、車いすも速い!時速30kmも出るんだ!知らなかった!
車いすマラソンは、3輪タイプの競技用車いすに乗り、腕の力で42.195kmを走り抜きます。2020年の東京パラリンピックの正式種目です。車いすマラソンの世界記録はハインツ・フライ選手(スイス)が打ち立てた1時間20分14秒。これはなんと、1999年から約20年ほど破られていない記録!ちなみに、夏季・冬季合わせて14個のパラリンピック金メダルを獲得しています。
マラソンの世界記録は2014年のベルリンマラソンでデニス・キメット選手(ケニア)が打ち立てた2時間2分57秒。2時間を切る日は来るのか?!ということが現在のマラソン界では話題になっています。
そして、視覚障害者のマラソンの世界記録を見てみると、Chentouf El Amin選手(モロッコ)が打ち立てた2時間21分33秒。目が不自由な世界でこのスピードで走れるのかと思うと、正直いって驚きが隠せません。
クラス名 | 程度 |
T11クラス B1クラス |
伴走者が必須 最も障がいが重いクラスで、どの距離や方向からでも手の形を認知できない |
T12クラス B2クラス |
伴走者と走るか単独で走るか選択できる 手の形を認知できるものから視力0.03まで、または視野が5度以内。(視力と視野の程度で分類) |
T13クラス B3クラス |
単独で走る 視力は0.04から0.1、または視野20度以内。(視力と視野の程度で分類) |
http://jbma.or.jp/blind/より。
視覚障害者マラソンは国際パラリンピック委員会によってクラスが定められています。重いクラスだと、伴走者と一緒に走ることになります。世界記録は、T12クラスの男子の記録です。
伴走者は、走者が安心して走れるように視覚障害者の目となって、方向を伝えたり、障害物を避けたりする役割があります。また、ランナーが走りやすいようにフォームや走路、ペースに気を配ります。
パラリンピック選手の伴走となれば、伴走者自身の走力も問われます。走ることだけでなく、周囲に気を配り、走者の様子もよく観察する必要があるとなると、かなり体力・技術ともに必要になりそうです。
ちなみに、自転車の競技では42.195km走る種目が存在しないので、今回は1時間で何km走れるか?のタイムトライアルの世界記録からお借りして計算しました。1時間の世界記録は、2015年6月15日にブラッドリー・ウィギンズ選手が打ち立てた54.526km。つまり、時速54kmの自転車です。もはや車の速度です。

今回はハンドバイクは取り上げて・・・。ごめんなさい!
車いすマラソン、視覚障害者マラソンなど、障害者スポーツに位置していますが、「どうしたら、速く走れるか?」の工夫に違いはありません。
例えば、競技用の車いすは元々4輪だったものが3輪へと変わり、素材も軽いアルミになったりと改良が進んでいます。視覚障害者のマラソンも、伴走者との呼吸ひとつでタイムが変わるので、コミュニケーションの取り方など互いにしか分からない工夫は進んでいるはずです。
障害者スポーツは本人の持って生まれた能力だけではなく、それを活かす環境や道具、さらには伴走者など優れたスタッフとの巡り会いなども大きく影響しています。そんなドラマを思い描きながら、競技を観戦してみようと思いました。個人的には車いすマラソンの疾走感を生で観てみたいです。
取材班ライター:森本しおり