スポーツ紹介

子どもに障害があっても、ママが可能性を閉ざしちゃ意味がない ー息子と水泳の出会いー

倉澤沙織
2017.09.20

夫と知り合ったのは大学のテニスコート。サークルのエースだった彼に一目惚れし交際、そして結婚。私自身も学生時代はバレーボールやテニスを楽しみ、スポーツ好きだったので、赤ちゃんができたと分かったとき、きっと運動神経がいいに違いないと予感。どんなスポーツを好きになるんだろうとわくわくしていました。

しかし、生まれた息子の両足は不完全で不自由。車いす生活になるのか装具を履いた生活になるのか、いずれにせよスポーツなんてとても無理だろうなと思いました。

息子が3歳の頃。歩行訓練を指導してくれた理学療法士さん、そして義肢装具士さんがたまたまスポーツマンだったこともあり、歩けなくても泳ぐことはできるんじゃないかということで休日にプールに連れ出してくれました。きっと私ひとりだと、息子をプールに連れて行くなんて怖くて仕方がなかったと思います。

義肢装具士さんが車いすに乗っていたこともあり、息子にとって初めてのプールは「両手だけでクロールを泳ぐお兄さんとの対面」となりました。私にとってもバタ足を打たなくても泳げるんだ、足は舵の役割を担っているんだ、というような気づきがあり、親子揃って衝撃を受けました。

「ちょっとプールに入ってみなよ」

そう言われた息子は恐る恐るプールに。子ども用プールとはいっても、プールの底に足が届くのか、届かないのか、微妙な深さ。なかなか足を入れようとしない中、手が滑ってプールに飛び込んでしまった息子。半分溺れたような状態になって泣き始めているのを見て、私は黙っていられませんでした。

「上がろう」

息子をプールサイドに引き上げたとき、義肢装具士さんはこう言いました。

「今の息子くんのことはごめんね。でも、もし、もう一度入ろうとしたら、自力で入れるように見守ってみて。」

そう言われたそばから、歩けない中、ハイハイのような格好でプールの中に入ろうとする息子。おそるおそる手を水の中に伸ばすと、頭からダイブ。2度目の失敗はダメかもと思って、プールの中から上がってきた息子の顔をゆっくりと見てみると、笑いと涙が顔いっぱいに広がっていました。

「プール、楽しい!」

いやいや泳げたわけでもないし、泣いてるじゃんと言いそうになりながらも、私は息子の足は不自由だから、プールには連れていけないと無意識的に考えていた自分に気づきました。私が無理だと諦めていたら、息子のこの笑顔は出てこなかった。障害が原因で無理だって親が決めるのはダメだなと反省しました。

「子どもに障害があるわけではないから偉そうなことは言えないけれど、自分も足が不自由なことでいっぱい失敗した。でも、その失敗があるから、自分の体でもできること、できないことが感覚的に分かるし、挑戦することもできる。周りが思っている以上に、不自由さってないのかもね。」

プール帰りに言われた一言が、私の息子に対する接し方、障害があってもまずトライしなさいというものに変わったのだと思います。

子どもが小さかった頃、プールや体操教室などスポーツに関する習い事に息子を受け入れてくれる場所はほとんどありませんでした。障害者限定のようなものは別でしたが。

夫と代わりばんこに息子をプールに連れて行き、一緒に泳いだり遊んだりしていましたが、子どもにとってはリハビリと体を動かす時間になり、私たちにとっては親子のひとときを作る時間になりました。

月日が経っても足が不自由だと運動する機会がそこまでないからと、息子は定期的に泳ぎにいきました。高校時代に障害者の水泳大会などに出ると聞いたときは、代表とか目指すの?とワクワクしたこともありましたが、付き合い始めた彼女にいいところを見せたかっただけみたいです。

障害を持つ子どもが全員スポーツをするわけではないですが、少なくとも親が勝手にできないと決めつけ、可能性を閉ざすことはもったいないなと感じます。また、体を動かすことで健康やリハビリ、そしてストレスの発散につながることは、障害の有無は関係ないこと、意識しておいていいことだと考えます。

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